非常用発電機(PG28KX)不具合調査

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非常用発電機(PG28KX)不具合調査

こちらは、産業用エンジンメンテナンス.comを運営する中田エンジンが実施した

消火ポンプ用の非常用発電機PG28KX(エンジン 三菱 S2E2)の事例となります。

 

「30年前に納入された非常用発電機で、6年ほど前に故障したまま置いていた。

再び使用したいので、使用可能か点検してほしい。

整備が必要であれば見積りをお願いしたい。」

というご依頼を頂きました。

 

現状どうなっているのか、電源や燃料が入っているかもわからないので、

慎重に1つずつ確認していきます。

 

まずは発電機、制御側から

・バッテリー

              1992年製で30年経過。(通常6年ごとに交換します。)

              バッテリースイッチはOFFで充電されていない。

              電圧も3.31Vで基準の24Vを大きく下回り、完全に放電している。

              バッテリー上面がひび割れ、膨張している。

・商用電源

              発電機制御盤まで正常に届いている。

・操作盤

              充電器入力、充電器出力、制御電源をONにしても操作パネルが点灯しない。

              制御基板が故障している可能性があります。

・発電機本体

              絶縁抵抗は100MΩ以上あり。

              ただし、固定子コイル等に発錆が見られる。

 

 

つづいてエンジン側

 

・潤滑油

              オイルレベルゲージを抜こうとすると、ゲージと差し込み部の

              すき間からオイルが溢れ出してくる。

              燃料または水が混入している可能性があります。

・燃料油

              25/40L程度入っているが、経過年数は不明

              タンク→ポンプ経路の栓を抜くと、変色した軽油が少量出てきて止まった。

              軽油の劣化変質、タンク内の錆などが経路に詰まっている可能性があります。

・ターニング

              ターニングバーを使い手動でターニングを試みたが、

              固着していてクランクが回転しなかった。

・冷却水

              クーラント濃度が15%に低下していた。

              通常、クーラント濃度は35%程度です。

              長期間交換されていない場合、経路の詰まりや腐食の可能性もあります。

 

その他、フィルター、Vベルト、ラバーホースなど定期交換部品も

納入後に交換された形跡がなく、もし始動できても大変危険な状態でした。

 

残念ですが、制御盤、エンジンともに使用できる状況ではありません。

 

 

当初の依頼では、整備して使用したいということでしたが、

整備の場合、大規模な作業で高額となること、PG-Kシリーズ自体が古いことから

発電機の入れ替え、更新工事を薦めさせていただきました。