こちらは、産業用エンジンメンテナンス.comを運営する中田エンジンが実施した
非常用発電装置の修繕作業と擬似負荷運転の事例となります。
三菱のパッケージ型非常用発電機(パッケージ型式:PG45NMX、エンジン型式:S4Q)で、
「消防から負荷運転をするよう指摘があったので、負荷運転を実施してほしい。」
というご依頼でした。
状況を確認するため現地調査に伺ったところ、
・納入後23年間でメンテナンスした形跡がみられない
・プライミングポンプが故障して動かない。
といった不具合が見つかり、このままでは試運転時に二次災害が発生する危険性も懸念されました。
お客様にはまず緊急修繕整備作業を行い、その後、擬似負荷運転をするよう提案し、承諾いただきました。
修繕作業は故障しているプライミングポンプ交換のほか、
本来であれば数年ごとに交換するべき
・潤滑油、潤滑油エレメント、燃料油エレメント
・燃料噴射弁
・冷却水、冷却水ラバーホース、サーモ弁
・Vベルト、油圧スイッチ、水温スイッチ
など定期交換部品の交換、
・バルブクリアランス調整
・燃料噴射弁噴霧圧力調整
・バッテリー点検計測
・発電機等の電気回路の絶縁抵抗計測
などの点検整備を行いました。
気になった点として、
潤滑油エレメントを外すと、中に潤滑油が無くほぼ空の状態でした。
プライミングポンプが故障していたことによる現象かもしれませんが、このまま始動すれば一時的に無給油状態での起動となってしまいます。
おそらく他の主要軸受などの潤滑油も油膜形成ができず、スタータでの起動で焼き付き等の故障が発生していたかもしれない危険な状態であったと思われます。
定期的な点検、予防的保全策の重要さを感じる事例でした。
修繕作業後の無負荷試運転では、無事にエンジンが始動し、無負荷運転でのデータにも
問題はありませんでした。
後日の疑似負荷運転は、無負荷運転からスタートし、10%⇒20%⇒30%と段階的に負荷を掛け、すべての負荷運転で問題の無いことを確認いたしました。
お客様には、所轄消防署長に提出する【消防点検書類】をご提出し、無事完了しました。